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2009.10.23 Friday  | - | - | - | 

谷崎潤一郎『猫と庄造と二人のおんな』から『細雪』まで

谷崎潤一郎について書き始めたら、けっこう長くなりそうな気がする。

初めて読んだ作品は、『猫と庄造と二人のおんな』で、私は十代の終わり頃だったと思う。

猫と庄造と二人のおんな
猫と庄造と二人のおんな
谷崎 潤一郎

読んだ理由は、たぶん、その頃、「猫」と名のつく本を読むことに凝っていたからだ。
読んでみて、しかし、その面白さに私は目を見張った。

谷崎とは、こんなに面白い小説家だったのか!
現代作家以外で、こんなに面白い小説を書く作家がいたのか!


今思うとかなり愚かではあるが、そんな驚きでいっぱいだった。

何しろ、それまで、私にとって、昔の日本の作家の作品を読むということは、取りも直さず一種の忍耐を伴う行為であったのだ。
ところが、谷崎の小説は普通に面白く読める。
しかも、その面白さは半端ではない!
これが驚きでなくて何であろうか、というわけである。

それからしばらくの間、私は谷崎の小説を、それこそ読みあさった。

そう、はっきりと記憶が甦ってきた。
大学一年の時だった。
私は一浪しているから19歳の時だ。
大学の近くの何軒もの古本屋を毎日のように梯子しては、安く買い込んだ本を、空き時間に教室で読んだりしていた。

谷崎は私にとって、ずいぶん長く、大好きな作家の一人であった。

数多くの短編の中で、特に記憶に残るのは、「卍(まんじ)」だろうか。

卍

谷崎 潤一郎

前に、このブログのなかでもチラッとだけ書いたが(映画「スイミング・プール」は必見、かも?)、四人の男女が、何というか、くんずほぐれつっていったら変だが、一体誰と誰が、どの組み合わせが恋人同士であるのかないのか、何がどうしてどうなっているのか!?みたいな感じで(説明になっているのかどうか、我ながら多大な疑問を残しつつ)、ミステリーっぽい感覚もあり、ものすごく引き込まれて読んだのを覚えている。

ただ、谷崎を好きと言いつつ、『細雪』は、長らく読まずにいた。
その理由は、ごく単純な話。
古本屋で買い求め、わくわくしながら繙き始めた『細雪』は、しかし、悲しいことに乱丁本であった。
つまり、ページの順番がへんてこりんになっていて、読むに読めない本だったのだ。
新刊本なら、出版社に送れば新品を送り返してもらえるが、古本だから、そうもいかない。
あまりにもがっかりした私は、勢い余って、『細雪』を読もうという意欲を失してしまった。

そのまま、十年以上の月日が流れた。
30歳を少し過ぎた頃、私は、東京より少し寒い地域に住んでいた。
その寒い冬の夜長の無聊〈ぶりょう〉(暇で退屈なこと)を慰めるのに、『細雪』はまさに打って付けだった。
久々に触れる谷崎は、紛れもなく、若い頃に胸を躍らせながら読みあさった、あの谷崎だった。

細雪
細雪
谷崎 潤一郎

大部ではあるけれど、これ以上はないほど、小説の面白さというものを堪能させてくれる一冊である。
私にとって、どんどん読み進めたくなってしまう、でも、読むほどに残り少なくなっていくことが残念に思える、そんな、子供みたいな読書の楽しみを、久しぶりに感じさせてくれた一冊でもある。

それでも、どうしても長いのが苦手、という方には、冒頭に挙げた『猫と庄造と二人のおんな』をお薦めしたい。
これは、とても短いが、谷崎の持ち味を充分に楽しむことができる。
最初に読んだ谷崎がこれであったことは、私にとって非常な幸運であった。
『細雪』と並んで好きな作品である。

あるいは、もし、『痴人の愛』や『鍵』などを読んで、谷崎にあまり好印象を持っておられない方がいたとしても、上記の二作品は、あなたの谷崎観を、きっと塗り替えるに違いない、それも、必ずや、あなたにとっても、また谷崎という作家にとっても、よい方向に!……ってなことを思ってみたりするわけなのだった。

あっ、気づけばすっかり明け方ね。
なんでこ〜なるのかしら♪
うふっ☆
(明け方なだけで、素面は素面ですよ……念のため。)

ああ、ようやく谷崎について書くことができた。
ひとまず、よしとしよう。

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2006.03.26 Sunday 05:17 | comments(3) | trackbacks(0) | 読書・文学 | 

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2009.10.23 Friday 05:17 | - | - | - | 
ちょいハピ (2006/03/26 2:02 PM)
ちょっとした付け足しですが、本文の、
「そのまま、十年以上の月日が流れた。
30歳を少し過ぎた頃、私は、東京より少し寒い地域に住んでいた。」
という箇所、アップした時は、
「その後、およそ十年の月日が流れた。
当時、私は、東京より少し寒い地域に住んでいた。」
となっていました。
よく考えたら十年以上経っていたことと、その「十年後」の当時の話をしていることや「十年後」と現在の関係が分かりにくいことから、書き直してみました。
少しは読みやすくなっているとよいのですが!
(っていうか、それを説明しているこのコメントの文自体が読みにくいぞ!!)
ぱんどら (2006/04/13 2:33 PM)
「ぱんどら日記」へコメントとトラックバックありがとうございます。

谷崎、いいですよね。

私は『細雪』と『春琴抄』が好きです。
ちょいハピ (2006/04/14 1:34 AM)
ぱんどらさん、コメントありがとうございます。
山田詠美についての記事にTBを頂いたので、それをきっかけに、ブログにお邪魔してみました。
谷崎は、正統派日本文学、という感じがします。
そして、山田詠美も、正統派日本文学だと感じます。
(「何をもって正統派と定義づけるのか?」「どこが正統派なんだ?」などのツッコミを受けそうな気もしますが。)
──両者はその点において共通していると言えるかもしれません。